先般、コンガの皮の張替えについて2つエントリしました。
ところで、先に書いたこちらの記事・・・①では「皮」と書き、こちらの記事・・・②では「革」と書いています。
これはどうしてかというと、ご近所の革細工職人hina-yuuさんからコメントを頂いたことに起因するのですが、hina-yuuさんが扱うのは「革」で、太鼓の「皮」も加工されてるんだし「革」かなと思い、②で訂正の意味もこめて、全て「革」にしました。
因みに、「かわ」を変換しますと、「革、皮、川・・・・」と変換候補が出まして、その用例に、
皮-天然のかわ、表皮、「皮をなめす、りんごの皮、面の皮・・・」
革-なめした皮、 「太鼓に革をはる、革の財布」
と出ます。
太鼓のについては、いつも微妙に、革だったか、皮だったか迷っていたのですが、PCの辞書機能的にも「革」なので、「革」確定と。
・・・・ところが、②を投稿し終わってからも、どうもしっくりこない。
皮膚感覚として、太鼓の「かわ」は「皮」のような気がするんですね。
というか、そもそも「鞣(なめ)す」とはどういうことかよくわかってない。
それで、「なめす」で調べてみましたら、
動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですがそのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。この大きな欠点を樹液や種々の薬品を使ってこの欠点を取り除く方法が「鞣し」と言います。鞣していない状態を「皮」と呼び、鞣したものを「革」と呼び区別しています 。
とのこと。
「鞣していない状態を『皮』と呼び、鞣したものを『革』と呼」ぶ。
なるほど、これを前提として、PCの変換候補・用例に戻りますと、
太鼓の「かわ」は鞣してある。
と言うことになろうかと思うのですが、やっぱり皮膚感覚が・・・。
しかし、ちょっと立ち止まって、上の「鞣す」の説明を読み直しますと、
乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。
と。
乾くと硬くなる
・・・・・・・・・・これって、太鼓の「かわ」。
それから、
「すぐに腐敗したり」するってのは、太鼓にはる前に水につけてるものを犬がくったりするくらいだから、ぬれた上体で放っておけば腐るだろうと。
う~ん、ひょっとして、太鼓のかわって、なめしてないんでない?
それで、上掲の鞣すの説明のリンク先を見てみましたら、「製革工程」と言うのが載っていて、実に12もの段階を経て革ができています。
しかも、実際に「鞣し」と言う工程がなされるのは、9段階目。
だいぶ後半です。
で、それ以前の工程を見ますと、
第一段階 原皮・・・塩漬けや、乾燥によって防腐された皮を輸入。
それから、数段階の中で、付着した血液、汚物、脂肪、毛などを取り除きます。
第四段階 脱毛・石灰漬け・・・・灰乳に浸漬し、アルカリにより皮を膨潤させ皮のコラーゲン繊維をほぐすと共に、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。脂肪・表皮層を分解除去する。皮革独特の柔軟性を得る
第六段階 再石灰漬け・・・・石灰乳に再浸漬し、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐす。ソフト革やスエード調革には不可欠。
第六段階の「ソフト革、スエードに不可欠」なところまでいってしまうと、太鼓のかわとは言えません。
第四段階の「毛・脂肪・表皮層の分解除去」は、毛・脂肪まではありだけど、表皮層がどのくらいの深さにあるのか分からないし、柔軟性は太鼓のかわには必要ないので、太鼓の「かわ」としては、第四段階の途中かそれ以前で作業はストップするのではないでしょうか・・・。
すなわち、太鼓の「かわ」は鞣されていない、と。
というわけで、更にそのあたりについて調べてみますと、
原皮の状態から選別し、薬品を一切使わない昔からの手法で作り上げております。
和牛の原皮を一枚一枚水にさらし、自然の力で毛を抜けやすい状態にし、皮を「かまぼこ」と呼ばれる木の板の上に載せ、セン包丁(刃を落とした包丁)で柔らかくなった毛をこそぎ落とし皮の裏に付いているニベ(余分な脂分)もセン包丁でそぎ落とします。
そして、1枚ずつ皮の端に穴を開け木で組んだ枠に張り天日で自然乾燥させています 。
とか、
こちらは「革」になってますが、今まで調べてきたのが一刀両断・・・・。
太鼓革は「生革(きがわ)」というものです。野球グローブや靴、かばん、さいふ、ジャンパーなどのいわゆる「なめし革」ではありません 。
とあっけない幕引きになりますが、結論としては、
・PCの「かわ」の検索候補「革-太鼓の革」は間違い
・どっちゃでもいいかも知れんが私は太鼓には「皮」を使うことにする。
ということで、今日はおやすみなさい。
P.S.:hina-yuuさんのおかげで、今日のブログは楽しめましたわ。
あざ~す!
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こんばんは。張替の様子を掲載してくれて、ありがとうございます!一般人にはなかなか見ることのできない作業ですので非常に興味深く、楽しく見させていただきました。
私、道具をメンテナンス(リペア)しながら長年使うという行為が好きで、そうやって大切に扱われてきた道具を見るのが好きですし、その持ち主にめちゃくちゃ好感を持ちます。太鼓の革というのは、テニスラケットのガットなどのように、消耗品で張り替えるのは当たり前ということなのかも知れませんが、やはりそれを繰り返して使っているところが良いですね。実物を見てみたいです。そしてちょっと触れてみたいなぁ。
それから革と皮の話。実は私もどっちを使うべきなのか悩んだんです。で、やっぱりこの場合、「皮」の方がしっくりくるようですね。色々勉強になりました!革の話でこれだけ盛り上がれるなんて幸せです。そうそう、最後に。わたくしただの革マニアでして、決して職人だなんて大それたものではありませんので。お恥ずかしい限りです。
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再びありがとうございます!
太鼓の皮ですが、ず~~~~~~~~~~っと換えない方もいらっしゃるし、頻繁に変える方もいらっしゃいます。
僕の場合は、以前は結構変えてましたが、最近はなるべく張りっぱなしにしておきたいと思ってるのですが、頂いたコメントのような、いい感じな理由からきてる訳ではなかったりするのですが・・・、折角なので皆まで言わんときます。
いや~、なめすとか、なめさないとかの話は、思えば全然知らないままいたので、こちらこそ、前に頂いたコメントのお陰でいい勉強なりました。
ありがとうございました。
太鼓は何時でも叩きに来てください!