3月25日分の記事をエントリしました。
たまっていた宿題もまもなく佳境。
旅の記憶が薄れる前に補完したいものです。
交通量の非常に少ない時間帯をひた走りただいま帰宅したのですが、そういった時間帯にそこそこのスピードを出していると、大阪市中央卸売市場へ毎日出勤していたころのことを思い出します。
「市」という言葉がついていますが、市職員が競りや小売店への商品の販売をしているわけではありません。
産地から各商品が集まり、中小の個人商店がそれを競り、小売店はニーズに合わせて各個人商店から品物を仕入れる。
つまり、産地から品物を集める会社→個人商店→小売店→各家庭へと商品が流れていくことになります。
市はそういった商取引が行われる場を提供するというか、商取引を行う事を委託する、そういったことだったと思います。
多少の間違いは御勘弁を。
我々が商店街を物色するように、小売店の仕入れ担当者がずらーっと並んだ、仲買の商店から品物を買い集めるのです。
当該市場で言いますと、鮮魚、青果、蔬菜、と3部門に分かれていて、それぞれ130前後の商店が軒を連ねます。
各商品が実際に食卓に並ぶまでに、2クッションあるわけで、当然その分の人件費が商品には上乗せされるわけで、産地直送のメリットはこの人件費を差し引く事が出来るところです。
産地直送、或いは産地との直接契約のようなものは、大手スーパーの得意とするところであると思いますが、最近良く見かける「業務(用)スーパー」は、値段が更に安く、いったいどういった流通をしているのか私には想像もつかないので、お詳しい方いらっしゃいましたら是非御指南の程、よろしくお願い致します。
さてさて、自分の経済もままならない男が流通の何たるかを語ったところで・・・ですので、此度は市場内の乗り物について御紹介をば。
大阪市中央卸売市場ではターレットと呼ばれていましたが、築地の市場ではターレと呼ばれているようです。
午前中は市場近くの公道でも見かけられます。
動力にはガソリン式、バッテリー式があり、ギアは前・後進3段変則。直径60センチほどのハンドルに同心円状についたリングの押し加減によってギアを変えます。
ハンドルを完全に切った状態だと、後輪を軸に円運動が可能。つまり、非常に小回りが利くので、商品を満載したパレットの山々の間をほぼ直角にまがったりなどが可能です。
荷台の長さはモデルによって仕様の違いがあるようですが、1800×1100といったところでしょうか。
最大積載量は1トンから2トン。
パレットを2つ並べて積んだり、大量の荷物を一度に運べます。
最高時速は15キロ程度。
車やバイクに比べたら非常に遅く感じるかもしれませんが、何せ、シートベルトの類はありませんし、衝突などしますと運転者はいともたやすく放り出されるので、危険な乗り物です。
例えば市場内の通路の下り坂は、皆ノーブレーキのトップスピードで滑り降りるので、その場合は30~40キロは出ていると思います。
この車は、荷受所から各店舗に運ぶほか、小売店が購入したものを、その小売店の車(軽トラや、2トンなど車種は様々)が駐車してあるところまでの配達に使います。
小売店のトラックは駐車時間が決まっているので、買い物がされたタイミングによっては積み込みが間に合わない可能性があり、そうなった場合、基本的には売った側が小売店の店舗まで配達しなくてはならなくなるので、ターレットは我先に道を急ぎます。130×3=360の市場内店舗のターレットが時間帯によってはフル稼働しているわけですから、そこらじゅうでデッド・ヒートが起きているわけです。
これで事故が起こらないはずがないので、時に救急車も来場します。
血気盛んな労働者も多数なので、時にいさかいも起こったりしますが、基本的に熱しやすく冷めやすい、非常にさっぱりとしたものです。
まぁ、なんというか、気のいい兄ちゃんで溢れておりました。
因みに、市場内では、何歳であろうと男は「兄ちゃん」、女は「ねぇちゃん」と呼ばれます。
私はある時間になると土ごぼうを手作業で日に何百キロも加工する仕事が与えられていたので、「ごぼうの兄ちゃん」と呼ばれておりました。
・・・ターレットの話をするつもりが軌道がブレてきたようです。
先日たまたま見た、宮崎県知事が市場を訪問している映像で、とっても良くしてくれた70過ぎの「ねえちゃん」が今も元気に働く姿を見て、なんとも懐かしくなったエントリここにあり、であります。